ビエントさんのたまたま偶然なんとなく見聞録

たまたま偶然出会いなんとなく気になった人(や物事)を記録しています。

真っ直ぐな『好き』の強さ

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さきほど、サッカー合宿について書いたのだが
そのときにひとつある出来事を思い出した。
漫画にしてみたが伝わるだろうか。

小学生のサッカー合宿で、
大人は、コーチと
バイトとして参加した
付き添いナースの私だけ。

もちろん車内は、
はしゃいだり笑ったり話したりする声で
騒々しいことこの上ない。

ある時、何人かが、
「いつき(仮名)の好きな人は、
 せーの!あいりちゃーん」
とはやしたてた。
ちゃんとみんなでそろえて唱和できるように
ご丁寧に「せーの!」までひっくるめたフレーズが
止むことなく続く。
その騒ぎを面白がった
無関係と思われる子どもらも、
みんなが便乗しバス中ひとつになって、
そのフレーズを繰り返す。

「いつきの好きな人は、せーの!あいりちゃーん」

普段はどんな騒ぎににも
我関せずで、眠りこむコーチも
さすがの声量と、
いじめにも見えるはやし言葉に
立ち上がり

「うるさいぞー
 人の恋路を邪魔するやつは
 馬に蹴られて死ぬんだぞー」

と軽い感じでいさめようとした。

すると
いつきくん本人が言ったのだ。
「コーチ!
 僕、その子に好きって言ったんです。
 みんなが、言ってることは本当のことなんでいいんです。」

いつきくんの声は、
凛としたすずやかな声で
何の恥じらいもなく、
むしろ自信と明るさに満ちていた。

車内は、さっきまでの喧騒が
嘘のように静まり、
コーチもただ頷くだけしかできずにいる。

本当に好きな子なんだ。
まわりになんと言われようとかまわない。

心がかっこいい。
バイトで来ただけの私には、
バスの中の男の子の顔と名前が一致しない。
どの男の子がいつきくんかはわからない。
顔も知らない彼のかっこよさにしびれながら、
珍しく沈黙のおりたバスの中、
好きという気持ちの尊さと、
かっこいい心の持ち方みたいなものを
小学生男子から教えてもらったのだった。