ビエントさんのたまたま偶然なんとなく見聞録

たまたま偶然出会いなんとなく気になった人(や物事)を記録しています。

ブトニア

一年に、一度
正月にだけ会う友達が

私の結婚式、来てくれる?

と言う。

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結婚するの?
と聞くと

わからんまだ先。
でもしたい。
結婚については、
まだ話してないけど、
結婚式については、彼氏と話し合ってるよ。

とのこと。
どういうこと?

ピンクのスカートと、
きれいにカールしたヘアスタイル。
休日は、ネイルチップ作りにはげむ。

毛玉だらけのセーターを着た私は、
嬉々として結婚式について話す
友達を見つめていた。

結婚式というものを大切に思っている彼女なのだ。
対して、私は、結婚式というものに
あまり興味が持てない。
派手なドレスを着て、皆に注目されるのは、
恥ずかしい。
出来れば、避けて通りたい。

成人式、
私は参加せず
振り袖を借りるためのお金で、
ニュージーランドに一人旅に出た。
これは、全く後悔なしの選択だった。


ただ、一つ
ブトニアには、並々ならぬ憧れがある

ブトニアとは、
新郎の左胸に飾る花のコサージュのことだ。
通常、新婦が持つブーケと
同じ花材で作られている。

その昔、男性が野の花を摘んで花束を作り、
結婚の申し込みとともに女性に差し出した。
結婚を受け入れる女性は、
その花束から一輪抜いて、
ブトニアとして男性の胸に挿した
という由来がある。

なんてロマンチック。

花も愛情も
もらったものは、
お返ししたいではないか。

二人でわけあうことの幸せ

ああ、ロマンチック!

忘れてきたおっぱい

看護学生時代
実習でたくさんの人と出会った。

もう何年も経って
名前を覚えている人は
ほんの数人しかいない。
その中の誰かを思い出すことも
ほとんどない。

在宅看護実習は、
面白い人との出会いの連続で
とても楽しかった記憶がある。

新築のタワーマンション
一人で暮らしていた
素敵なおばあさんがいた。

足腰が悪く、入浴の見守りが必要だった。
ゆっくり丁寧に体を洗い、
サーモンピンクのぴかぴかした湯船につかる。
ふくよかなたわわな胸のおばあさんだった。

看護師さんは、とっても優しい
お姉さんとおばさんの中間くらいの
年齢の人だった。
実習で来ている学生の私に、
足が寒かろうと、
シャワーでお湯をかけてくれた。

看護師さんが、おばあさんに
「西村さん。
 素敵なおっぱいで、うらやましい。
 豊かで、のびのびしたおっぱいだわ。」
と言うと、おばあさんは、
「あら、あなたも素敵なおっぱい
 持ってるじゃない」
と答える。

「ううん。私は、おっぱいないから」

すかさず、おばあさん
「あら、おうちに忘れてきたの?」

お風呂は、三人の明るい笑い声
と湯気に満たされる。
「そうみたい、忘れっぽいからなぁ」
「あらあら」

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私は、卒業後
急性期病棟で看護師をした。
忙しい日々にふと、この時の
おばあさんと看護師さんのことを
思い出すことがあった。

看護実習で、学生は邪険にされ
不当に冷たい扱いを受けることが多い。
そのぶん、ほんのささいな平和な瞬間が
貴重な大切な思い出として
深く刻まれるみたいだ。

私的世代別夢調査

夢調査を行っている。
調査なんて大それた言葉では、
少し適切ではないが。
個人的な趣味みたいなもんである。

テレビでこんなことを
聞いたのがきっかけでした。

その番組では、夢は、
白黒の人とカラーの人がいて
その差は年代にあり、
現在50歳以上の人は、白黒で
それより若い人たはちはカラー
になるのだと

その理由は、白黒テレビが、
カラーテレビに移行した年代が
影響していると考えられる
という内容だった。

色々な年齢の人に、聞いている。
「あなたの夢は、白黒ですか?カラーですか?」

私の調査では、
20代で白黒の人が1人だけいた。
その他は、みんなカラー。
私も、もちろんカラー。
50歳以降の人は、白黒と例外なく答える。

最近、89歳の初対面の
おじいちゃんと話す機会があった。
優しく、穏やかで紳士的な素敵な
おじいちゃんである。

「おじいちゃんの夢は、
白黒ですか、カラーですか?」
聞くとおじいちゃんはこう答えた。

近ごろは、夢に出てくる人は、
みーんな死んだ人ばっかりだ

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少し、お耳が遠いおじいちゃんは、
ソファーから立ち上がると
私にその日の新聞を手渡し

「この人も、仕事仲間だったんだ」
国鉄時代の知人のお悔やみ欄を見せてくれた。
時代を感じるシンプルな響きの名前に、
勤めていたときの肩書きや、
亡くなられた年齢などが記載されていた。

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夢を見る度に、
もう決して再会することのない
懐かしい人を思い出す
89歳の朝の目覚め

歳をとることの喜びと悲しみと切なさ
あらゆる感情と共にある
おじいちゃんの優しい顔。

私の祖父母も、日課
もはや趣味のように、
新聞のお悔やみ欄に知人を探す。

私が、SNSで知人の結婚や出産を知るように
一年に何度も出会うニュースなのだろう。

時間は、不可逆的で、一方通行なのだと
ふと、思いいたる。

明け方の夢

今朝、夢を見た。

おっさんが、いる。

おっさんは、おもむろに
自分の鼻に手を伸ばし
軽やかに鼻毛をむしりとった。

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鼻毛を目の前にかざすと
風のふく方向に
ふわりと、鼻毛がそよいだ。

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自分の行く道を決めたおっさん。

私は、夢のなかで思う。
画期的だ
その上、なんて粋なやり方。

夢の中では、
そのおっさんしか登場人物はおらず
私自身は、どこにもいなかった。

夢から覚めて、
この夢は、
自分のイマジネーションの発動による
オリジナルではないだろう。
かつて、同じようなシーンを
アニメか漫画か何かで見聞きしたはずだ。
と、感じた。

夢の中にあった、
心地よい陶酔感が
さぁーっと薄まる。

さだかではない元ネタ。
その、元ネタのわからないモヤモヤ。
そのせいか面白い夢を素直に喜べない。

自分の夢にクオリティと
オリジナリティを求めても
誰も幸せにはなれないんだよ。

自分をなだめながら、二度寝に入った。

高1より高2

エレベーターに乗っていると、
元気な女の子たちが5人ほど乗ってきた。

美人というのではなく
それぞれに、若いかわいらしがあって
賑やかで楽しげだ

その中の一人が
「高1より、高2が、絶対よかった」
と言った。
他の子は、同意も否定もなく
それぞれに、自分の話したいことを話す。

私は、明るくはじけるような
高校生の女の子たちがまぶしくて、

その一言が突然耳に飛び込んだことが
嬉しかった。

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高1より、高2のほうが絶対よかった。

10年前、私も高校生で、
この子達のように
同じ年の友達とつるんで騒いで遊んでいた。

きっと、高3もその先も
もっともっとよくなるといいね。

そろえたように全員150センチほどの
小柄な女の子のグループは、
エレベーターのドアが開くと
はじかれたようにかけて出ていった。

制服ではなく、私服の女の子たちは、
話を聞かなければ
中学生にも、大学生にも見えた。

メガネスーパーと絵画

メガネスーパーに行った。

視力検査の前に、アンケートに答える。

休日の過ごしかた

という項目があって
ドライブや映画など
色々な選択肢などがあるなか

絵画

というのがあり、
その他に絵を描く的な
内容の選択肢はなかった。

暇な時間、しょっちゅう
落書きばかりしているので

少しのためらいを感じつつ、
絵画にチェックを入れた。

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アンケートを見た後、
担当してくれた、かわいいお姉さんが
「絵を描くなら」「絵は、、」「絵を、、」
とやたら絵画のチェックに注目した
言葉が繰り返され、申し訳なくなった。
そして恥ずかしかった。

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油絵の具や
キャンバスに触れたこともないのに

絵画をする人に最適な
30センチ先の手元の絵も、
遠くのモデルや景色もよく見える
そんな眼鏡をお姉さんに作ってもらったので

これを機に、憧れの絵画に挑戦してみたい。
そんなような気持ちに
一瞬だけ、なる。

メガネスーパーと唾液

メガネスーパーに行った。

メガネスーパーは、とっても丁寧。
との母の言葉を思い出したのだ。

実際にメガネスーパーは、親切丁寧だった。
JINSでしかメガネを買ったことのない私は、
その至れり尽くせりな
丁寧さに度肝をぬかれた。

まずは、
お好みのお飲み物とクッキーが運ばれ、
マッサージまで受ける。
たくさんのアンケートに答える。
視力測定や種々の検査には、約一時間を要す。
測定は結果をいちいちご丁寧に説明してくれる。

物の遠近間がわからない

という項目にチェックを入れた私。
飛びだす部分を答えるという
遠近感の検査で全て正当し、
『一般的な方より遠近感が優れてます』
『なかなかこんな人はいない』
と言われ恥ずかしくなる。

遠近感覚がわからない

それは、私の勘違い。
今までの自分の思いこみのせいで、
勝手に遠近感覚がないと見なされていた自分。
自分、ごめんな。


メガネスーパーの、メガネ作りの
最大の特徴かつ
最高にびっくりしたのが、
ラクゼーションマッサージ。

今まで、マッサージなど
まともに受けたこともなく
ドキドキドキドキ。

照明のおちたスペース、
ラクゼーションな音楽が流れ

きれいな眼鏡のお姉さんが
頭や首をほぐす。

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き、きんちょーするよ!
知らない人に触られてる!

でもリラックスしなきゃ、
お姉さんに申し訳ない。

『眼鏡屋さんに就職したのに
 私ったらなぜマッサージなどしてるの?』
そう心で自問するであろうお姉さん
『でも、お客を癒すのはやりがいがあるな』

お姉さんが、そう思いいたるためにも、
私は、しっかりリラックスしなきゃ

そう思うほどに
緊張して、ツバばかりでてくる。
マッサージの間中、
ゴクリゴクリとツバばかり飲みまくった。